Off Off Broadway にしても、大学の芝居にしても、つくづく思うのが、「上手い人多いなぁ」ということ。ニューヨークで苦労していないで、日本に行って「外タレ」数年やってお金稼ぐのも良いのでは?と思ってしまう。特に美形だと。
ただ、先日見たお芝居の中で1人だけ、「下手」な人がいたものだから、ちょっと演技の事など書きたくなった。今日はそんなお話を。
私は日本のドラマを見なくなって大分久しくなる。理由は単純で、演技が「カタイ」から。台詞を言っているだけで、役の奥深さが全く伝わらない。
「何の事言っているの?」と思う方は、一度テレビの音を消して、映像だけを見てみて欲しい。本当に演技ができる人は、表情、しぐさでしっかり「役」を伝えているから。
でもって、これは「演技ができる」というレベルの話。ある意味「役者」を名乗るなら出来て当たり前のレベル。
上手い役者とは、さらに、「見ていて楽しい」と思わせる人。
昨日のお芝居では、登場人物5人のうち、4人は、「見ていて楽しい」というレベルに達していた。
動作の一つ一つが、とても自然で「役柄」を伝えている。その上、動きが言葉のリズムに乗っている。独りよがりのナルシスト的な感情移入ではなく、しっかり観客の存在を知り、話を伝え「見せる」事を知っている。
この「自然さ」は「作り上げられたもの」である事は、舞台で仕事をしている人間ならば、見抜ける事。その難しさも知っているから感動もする。
けれども、1人だけ、「台詞を言う人」に過ぎなかった。他の4人が、台詞を理解し、消化し、役を作り上げていただけに際立ってしまっていた。
声量は一番強かった。けれども「気」が小さい。体が呼吸をしていないのが伝わってくる。カタイのだ。
恐らく、英語の話せない母が見たら、「彼は警察官」という衣装が作り上げたキャラクターしか理解できなかっただろう。他の4人は、どんな人なのか、その動きから、その声質から、きっと理解できたはずだ。
日本のテレビドラマで、音を消しても楽しめるものはどれくらいあるのだろう。台詞を聞かせるのではなく、その台詞を言う「役」を演じる事のできる役者さんは、どれくらいテレビに出ているのだろう。
そんな事を、帰国が近づくなかでちょっと憂鬱に思うのである。
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