天才児のその後

category:ニューヨーク
tag:Kの話

理科の自由研究で、石鹸を原材料にニトログリセリンを作り出し、クラス中を仰天させた天才児は、二十歳の頃には、BMWを乗り回していた。

その頃、K は、コロンビアの軍隊にいたという。

時は、アメリカがコロンビアに対し、麻薬戦争を仕掛けていた時。麻薬カルテルと麻薬撲滅の大儀名分のもと、ジャングルのコカ葉畑や精製所に爆弾を落としまくっていた。

コカインを精製する時に、アセトンを大量に使う。熱がでる、煙が出る、とっても臭い、爆発の危険性のある精製法なので、人里離れたジャングルで行うのが一般だったそうだ。

しかし、ヘリコプターで上空を飛んでいると、ジャングル内の精製所は臭いと煙で簡単にばれて、攻撃を受けるというパターンだったと言う。

「奴は、コカインの精製をして、BMWを買ったのさ。もしかしたら、安全でばれ難い、別の精製法でも編み出したのかもな。」

K が言うと、友人は
「彼がそう言ったの?」
と疑ったように聞いた。

Kは、鈍な質問するなよと言わんばかりに友人の顔を見て言った。

"He grew up in my neighborhood, where most of kids go to army, but he got a BMW! Do you think he won a lottery? I don't think so."

学校を卒業したら軍に入るのが当たり前の地域で、BMWを乗り回すなんて、真っ当な仕事ではあり得ないと言うのである。

しかも、ニトログリセリンは安全に作り出した彼だが、自宅でコカインを精製し、家を爆発させ、命からがら助かった事があったらしい。

そんな彼だから、麻薬の売買で、BMWを買ったに違いないと K は言った。


そう言い放ってから、少し間をおいて、彼は続けた。
「実は、奴に最近会ったんだ。」


「え?最近って、アメリカで?」
私達が同時に声を上げると、
「あぁ。奴、グリーンカード持っているし、家も車もあって、リッチに暮らしているよ。」
と淡々と答えた。

「で、今、何しているの?」
友人が恐る恐る聞くと、
「ヘロインを合皮に混ぜ込む方法と再摘出方法を発明して、一生金に困らない生活をしている。」
と K は言った。

それって、まるでトラフィックに出てきた話ではないか。しかも、合皮から作られる物は数知れず、ごく普通に誰もが持っている物である。

「今までに、そこからヘロインが発見されたなんて話、聞いたことがあるか?ま、その方法で摘発されるようになっても、奴はまた別の方法を編み出すのだろうさ。勿体ねー才能の使い方だよ。」

Kは吐き捨てるように言った。


麻薬戦争時、貧しい人達が生活の為に麻薬産業に関わり、命を落としたり、障害を負っているという記事を読んだ事がある。

一方で、麻薬で大金を手にしている者は、お金の力で、爆弾を落とした国で悠々自適に暮らしている。

Kの、「腑に落ちない」イライラが伝わってきた。


「奴みたいな天才は、Manuel Elkin Patarroyo みたいに、世界人類の為に働くべきなんだ。」とKは言った。

明日は、その話。




↓カテゴリ100位内目指してます。
人気ブログランキングへ
2008年12月04日

海外旅行ブログ村| 英語ブログ村
| ニューヨーク| Kの話| | Comment(0) | TrackBack(1)
| このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック
クリスマス・ストーリー
Excerpt: 人生は映画より奇なりから5日分のブログネタをくれた、K のクリスマス・ストーリー。 高級売春婦を連れて日本に行ったり、理科の実験でダイナマイトを作ったり、マフィアのガードマン等をした K がニューヨ..
Weblog: 桜の英語四方山話(時々旅行・芝居・映画) | 2009-04-15
コメントを書く
お名前: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]
※画像の中の文字を半角で入力してください。


 ※桜が承認したコメントのみ表示されます。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。