マラリア・ワクチンと南北問題

category:アメリカ
tag:Kの話

K が、「奴みたいな天才は、Manuel Elkin Patarroyo みたいに、世界人類の為に働くべきなんだ。」と言った時、その人が誰なのか、私も友人もわからなかった。

K はショックを受けたように、
「知らないのか?マラリアのワクチンを世界で初めて開発した学者なんだぞ!」と言った。
マラリアと言えば、年間5億人の患者を抱える病気。死者は100〜150万人とも言われる病気。そのワクチンを発明したとなれば、有名であって当たり前だろう。

しかも、Manuel Elkin Patarroyo氏のすごいところは、そのワクチンを発明した事だけではない。

彼は、研究援助を条件に、ワクチンの特許をWHOに無償で提供したのである。アメリカやヨーロッパの大学・製薬会社からの誘いを断り、彼は母国コロンビアで研究を続けた。

それ故に、彼はコロンビアでは英雄なのだろう。K の語り口調はとても熱くなった。

"But," かれは続けた。

"I don't know what happend to him, but years ago, I saw him asking money to help his team to continue the research."

WHOから研究費の援助を受けているはずの彼が、研究資金を求めてさまよっていると言うのである。


K にその理由がわからないので、調べてることにした。まず、愕然としたのは、彼に関する日本語の情報が殆んど無いのである。

日本のマラリアの感染者はごく僅かなので致し方ないが、ウィキペディアでは、ワクチンの存在すら触れていない。

英語のWikipedia では、もう少し詳しく触れているので調べてみると、実際、Manuel Patarroyo(マニュエル・パタロジョ)教授の作ったワクチン、SPf66 は、タンザニアではある程度の効果を上げたものの、ガンビア、タイでの検査では殆んど効果が無かった。

その結果を受け、教授はは欧米の学者からバッシングを受ける。

それに対し、彼は、「自分が発展途上国出身であり、ワクチンの利潤を製薬会社にもたらさない故に受けている、先進国の傲慢で不当な差別。」と反撃する。

マラリアに対するワクチン開発は、いくつかのアプローチがあるようで、そうした医学的な反発もある。教授に対し、「人体への投用を急ぎすぎた。」という倫理的に問う声もある(SPf66で一億人の命が救われてはいるが)。

彼に対する評価は大きく分かれていて、「英雄的行為」とする記事もあれば、「広報が上手い研究者」と揶揄するものもあった。


年間、5億人の患者を生み出し100万人もの死者を出すマラリアの有効的なワクチン開発は、かなり「お金」と「政治」が関わっているようで、その中で、製薬会社と結託せず、母国コロンビアで研究を続ける彼を胡散臭いと思う人は多いようだ。

彼は、ワクチンの製造をコロンビア等の発展途上国で行えば、アメリカで作るよりも経費が10分の1以下で済むと言っているが、実行された気配はない。

「Patarroyo教授は、開発の最先端を行っているというが、殆んどの科学者はアメリカか欧米で有効なワクチンは開発されると期待している。」という記事や、ワクチン開発の歴史で、全く彼に触れていない記事などもあった。

医学に関してどうのこうの言える知識は全く持ち合わせていないけれど、彼に対するこんな批判記事を読むと、「不当な差別だ!」と彼が言うのも解る気がする。

「なんか世の中おかしいよ」というKの発言が頭から離れないのであった。




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2008年12月05日

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