足を洗わせた母の力

category:ニューヨーク
tag:Kの話

一週間にわたって映画トラフィックの世界のようなネタを提供してくれた、コロンビア出身の K の話の最終回。。。とりあえず。

彼がどうやってアメリカに来たか、それは不明だけれど、彼がどうしてアメリカに来たのかは、大体推測がつく。

彼が、あるマフィアのガードマンをしていた時、その男は借金をしている相手にこんな電話をした。
「1週間以内に借りた金を返さなければ、お前のお袋の指を毎日一本づつ送るからな。」

この台詞を聞いたとき、彼は、"I gotta get out of here." と思ったそうである。
ここから抜け出さなければならない
彼は本気でそう思った。


けれども、足を洗うのはそんなに簡単な事ではない。

別に抜け出そうとしたからと言って脅されるとかそんなわけでもないらしい(彼はそこまで深入りしていなかったのかもしれない)。

ただ、一歩間違うと、直ぐそこに、また舞い戻る「罠」が仕掛けられているのである。


アメリカに来たばかりでお金に困っている時、コロンビアの兄から電話があった。曰く、小包を送るからそれをある男に届けて欲しいというのである。

「小遣い稼ぎになる。小包は開けずに持っていけよ。」
という指令だった。

「何で?」なんて野暮な事は K は聞かなかった。直接届けられない何かなのだ。

ただ、航空便で普通に送ってくるのだから、そんなにヤバイ物ではないだろうと思い、言われたとおり、男に小包を届けた。

男は、中身を確認して、K に、1000ドルの札束を渡した。


「1000ドル!で、中身は何だったの?」
私が思わず聞くと、
パスポートの束。」
と K は答えた。

男は、「もう一仕事してくれたら、倍出すぞ。」と K に持ちかけたらしい。

が、K は断った。

家に帰り、お兄さんに電話し、「二度とこんな話持ってくるな!」と怒鳴ったらしい。


K は言う。
「一度、その輪の中に入っちまったら、抜け出すのは大変なんだ。俺はここアメリカでまで、そんな危ない橋は渡りたくないんだ。」

彼は真剣に言う。

「だけどよぉ、たった小1時間、ちょっと小包を配達するだけで、1000ドルなんて金が入るのがクセ付いたら、抜け出せなくなるんだよ。でよ、1000ドルなんて金、直ぐ使っちまうようになるんだよ。」


借金を返す為に踏み込んだ世界で、逆にどんどん借金を作る人間をK は沢山見てきた。

件の、高級売春婦に手を出そうとして逆に有り金全部盗まれた男は、その後、一度は落とし前をつけ、キチンと金を返して、お仕事を続けていたらしい。

しかし、何がきっかけかは不明だが、また大量の借金をマフィアに対し作り、どこかに「消えて」しまった。「もしかしたら、海外に上手く逃げたのかも知れないが、誰も奴の消息を知らない。」という。

高級売春婦と共に日本に行ったり、ダイナマイトを理科の実験で作ったり、その後、軍隊に入り、警察にも所属し、マフィアのガードマンもした彼は、
"I have seen so much shit in this world."
この世の腐りきった物を沢山見てきた。」
という。

そんな彼が、
「俺は、誰にもお袋の指を切らせるような事はしたくない。」
と言って、足を洗う決意をした。


彼のキャリア(?)にふさわしい、筋肉隆々の彼。映画トラフィックの世界を体験してきた彼だけれど、案外、ラテン系の男に多い、マザコン・タイプなようだ。

泣いて息子にすがったわけでも、ヒステリーを起こしたわけでもない。「母」として存在するだけで、息子に足を洗う決意をさせた。

ラテンの母強し。




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2008年12月07日

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この記事へのコメント
Posted by お喋り笛吹き 12月08日
ラテン、ユダヤ系、黒人一家の母って、何か存在感がデカイ気がする。Boyz II Men なんて歌にしちゃってるし。。。。
黒人一家の母は本当に大きかったりするけどね(^^; 

母は大地なんですよ。
Posted by 秋野桜 12月08日
うん、私も常日頃から感じていたので、ネタにする。
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