テレビを一年程前に売ってしまったので、私はニュースはもっぱらネットの文字情報。ライブ映像とか見始めるときりが無いので、殆んど見ない。

で、このニュースの取り上げ方を見ながら、アメリカ・メディアと、日本のメディアの違いを、改めて考えた。
『NY旅客機墜落事故』ではなくて、『ハドソン川の奇跡 (miracle on the Hudson)』という、名画『34丁目の奇跡 (Miracle on 34th Street)』を連想させるような命名をしたのは、ニューヨーク州知事のよう。こんなドラマティックなタイトルを直ぐに付ける政治家のセンスもさることながら、それ行け!と、メディアもこの「奇跡」具合を駆り立てる。
確かに、ホントに奇跡的。メディアが駆り立てるまでもなく、パイロットの冷静な判断と手腕は賞賛もの。
とは言え、真冬のハドソン・リバー。前日には雪が降ったくらい、ここ最近は寒いのである。映画タイタニックを見た時に知ったけれど、この事故で無くなった人の殆んどは、溺死ではなく、凍死だった。不時着しても、救助が遅れれば、そんな事故につながる可能性もあった。
が、救出活動も奇跡的にスムーズ。
ハドソン川沿いの公園で何度かポケーッと数時間休日を過ごしたことあるけれど、ここは、船でいつも混雑している地帯。そこに飛行機が不時着して、どの船にも衝突しないどころか、こうした民間の船が、救助に一役買ったというのだから驚き。
期待は、メディアは、「元パイロット」や専門家を連れてきて、『ハドソン川の奇跡 (miracle on the Hudson)』を駆り立てる。
今回の事故は、人間が重い鉄を空に飛ばすずっと以前から、空を飛んでいた鳥が原因だったようで、責められる立場の人間がいないというのも、パイロット賞賛に一役買っていると思う。
ニューヨーク・タイムズで今回の水上不時着がどんなに難しいか説明しているように、異論の余地無く、ヒーロー的活躍を見せたパイロットだから賞賛は当然。それにしても、アメリカメディアは、こういうヒーローを作るのが好きだと思う。
2001年9月11日のテロの時、消防署員の活躍ぶり、ボランティアの活躍ぶりは、ビン・ラディンがどうのこうのという報道よりも多かったと記憶している。
2003年の大停電の時も、「何やっているんだ!」というバッシングよりも、「長距離歩かなければならない人に、在庫処分のスニーカーを提供するスポーツ・ショップ」とか、助け合う近所の人々とか、明かりのない夜を楽しむ人々という、ポジティブな側面を取り上げている事が多かった。
こういうニュースに慣れると、日本の否定的なニュースに対して「もうちょっと、建設的な取り上げ方できないのかな?」と思うこと多々ある。
ただ、オバマ大統領フィーバーもそうなのだけれど、この「ヒーロー」作り、加速度がどんどん増して、時々調整が付かなくなっているように思う。
彼の賞賛に異議を唱えるものでも何でも無いし、「肯定的なものの捉え方」は、日本のメディアに少し見習って欲しいと思うところなのだけれど、やはり度が過ぎるのはどうなのかな。

Screenwerk(英語)では、この大騒ぎに対し、ひと段落したら、今度は、本が出て、映画が出て、関係者間の「権利」の競争販売が起るかもと、予測している。
"Stay tuned for “Miracle on the Hudson.” This is America after all." (Screenwerk)
うん。まさしくそんな感じ。
蛇足だが、YouTubeおもしろ無料動画で英語リスニングでニュースを聞きながら、「ラガーディア空港」をキチンと聞きだせる方は、英語耳の持ち主と思う。
8年前、アトランタに上陸し、目的の空港はと聞かれ、「ラガーディア」と言っても、全然通じなかった。何度か、「ニューヨーク、ラガーディア」と繰り返したら、"LaGuardia?" と言われ、何となく似ていたから、「そう」と答えた記憶がある。
明日は、MovingSale。準備は全く進んでいない。ブログに逃げている場合じゃないよなぁ…。
↓カテゴリ100位内目指してます。

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